だらだらと金曜日から過ごし続けて少し夏バテに近い症状が出てきたので、日曜日の明け方に思い立って外に出た。少し長い散歩をするか、コンビニで適当な食べ物でも調達して家に帰るか、と悩んだけれど、コンビニに寄って外で煙草を吸っていると、外は朝の4時を回ったばかりなのに少し明るみ始めていて、きれいな女の人が犬の散歩をしていた。
小さな犬は全く言うことを聞かず、女の人は引きずるように犬を連れていた。
東京の朝が早いところが嫌いだ。家に帰っても仕方がない気がしたので、最寄り駅まで歩いてみることにした。
朝4時の東京の空。九州にいた頃には考えられないほど明るい。
最寄り駅が目と鼻の先に差し掛かるあたりで環七にぶつかる。引っ越してきた当初は環状線がどういうものかというのをあまり理解していなかったけれど、いまでは少しだけわかる。空はすっかり日曜日の朝めいていて、遠くまで歩きたいような気がした。長い時間を覚悟して、寝不足の体のまま環七に沿って歩いていくことにした。
やはり大きい道路は利便性の良さからか主要な通りにぶつかる。グーグルマップを開かなくても標識を見ればどこに向かっていくのかわかって面白い。
大きい道だからすぐにコンビニがあるのだけど、コンビニを見つけるたびに灰皿があるかどうかを確認して、あれば煙草を吸ってゆっくりと過ごした。
しばらく歩いていると綾瀬川に差し掛かった。綾瀬といえば有名な事件の起こった治安の悪い場所という印象が強かったが、綾瀬川となると話は違って、10年以上前、まだ小学生だった自分は兄が買ってもらったばかりの携帯電話から流れる音速ラインの綾瀬川という曲を聴きまくっていた瞬間がフラッシュバックした。あの情景はこの濁りきった汚い川を背景に語られていたのかと思うと不思議な感じがした。
おれはジョナサンのフォントが好きだ。
─休日はいつもガストに?
俺:いつもってほどじゃないですけど、思い出したように来ます。
─ガストでは何を? 俺:何もしてません。あえて言うならば、ガストをしていますね。
─ガストを、する?
俺:そうですね。
─ありがとうございました。 俺:ありがとうございました。
おれはジョナサンのフォントが好きだ。
そうこうしているうちに足立区から葛飾区に入る。
この「中川」は、葛飾ラプソディで歌われる「中川に浮かぶ夕日をめがけて〜」の中川なんだろうかと思うと胸が熱くなる。
葛飾にはあまりによい名前のスナック(フィリピンパブ?)が多かったので夜に来てみたいと思った。
裸心(らしん)
New 崖っぷち Cin Lee
そうしてかの葛飾区亀有公園にたどり着いたところ、朝まで飲み明かしていた若い男女グループがベンチで騒いでいた(6時過ぎ)のを見た。なんとなくこの街を少し知れた気がして気分が良くなった。
帰りはだるかったので電車で帰りました。