2018年10月3日水曜日

10/2, 3

少しだけ長い夜だった。
最寄駅の近く行きつけの中華屋に一人で入った。席が空いていないからと大人数の座敷に通された。注文した料理が届くまで少し持て余していたのでその直前に買った雑誌をめくった。
いまアジアから生まれる音楽、 の特集は表紙に印字されているだけでなんとなく熱量があった。アジアという単語に熱を帯びたように思うのはおそらく癖で、気温や湿度、また発展途上国のめまぐるしさみたいな刷り込みがあるかもしれない。soundcloudで耳にするアジアのどこかの若者が作った音楽はもはやそのような印象を感じさせず、クールで無国籍で、母語で歌われる歌詞だけがその土地を感じさせる。


地元の友だちから連絡があって、店を出て家に帰ってから電話をした。どうやら、数人で同じ家に集まって餃子を作って酒を飲んでいるようだった。
何気ない話はお決まりの調子で進んでいき、アルコールが染み渡っていくのを電話越しの声色に感じ始めた頃、身勝手な物言いにだんだんと苛立ちが抑えられなくなって静かに怒ってしまった。
「帰ってこいよ」「東京がそんなに楽しいか」フィクションで散々聞き飽きた、と思った。身勝手な物言いをするときは、身勝手な物言いを自覚してその上で言ってほしい。そういう言葉を出すときに、親切心とかを盾にしないでほしい。ずるいと思う。相手の事情に寄り添わないで放たれる言葉はグサグサと刺さっていやだ。
東京にもずっといるとは思えない。
かといってこんなことがあるととても帰りたいと思えないし誰とも会いたくない。
荷物をすべて実家に送り返しアパートの部屋を引き払い携帯を解約し、誰にもなんにも伝えず一人であちこちぶらついてみたいという気持ちになる。なった。

夜遅くまで電話は続いたが、こちらの話は耳を貸されたり貸されなかったりして不毛だった。言いたいことだけ言わないでほしい。それを会話と思わないでほしい。
電話を切ったあとに胸に残ったもやもやを流すみたいにシャワーを浴びた。
床につく頃にはほとんど明け方で、寝不足から卑屈になるしまどろんでばかりで仕事にならないし最悪の一日だった。

仕事を終えて最寄りに着くなりスーパーで材料を買って即帰宅、いつぶりか忘れてしまうくらいの自炊をした。取るに足らない日のこと書き残しておきたくなるのなんなんだろう。

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